オシム元監督追悼試合、「リスクを負って走り続ける人生を」

「オシムジェフレジェンドvsオシムジャパンレジェンド」は、ジェフユナイテッド株式会社が主管し、オシム元監督を追悼する試合として実施。当日、フクダ電子アリーナのホーム側「Oゲート」が、千葉市の協力も得て「オシムゲート」としてリニューアル。神谷俊一市長は、「オシム元監督の功績を将来に繋ぎ、さらには将来を拓く扉になってほしい」と期待した。

試合前には、「オシムイズムを紡ぐサッカー教室」が行われ、千葉市と市原市の小学5・6年生約100名が参加。オシム元監督に指導を受けたOB選手による教室で、当時通訳を務めた間瀬秀一さんと現在はトップチームのコーチを務める坂本將貴さんが練習メニューを担当。4つのメニューを行った。

坂本さんは、「1対1の練習が、周りの選手のヘルプで2対1や2対2に変更していくメニューがあったのですが、これも先にヒントを与えずにプレーしてもらう。ディフェンスにてこずっていたら、『どうしたらいい？試合だったらどうする？』と考えて動き出してもらう。そうすると、自分の順番じゃないと周りで休んでいる子どもたちもグラウンドに集中して、考えてプレーするようになる。今日も徐々に慣れていっていましたね」と手応えを口にした。

間瀬さんは、「オシムさんは、成長させるために選手たちに厳しい言葉を投げかけていた。今日も、子どもたちは楽しかったと言っていたけど、それだけじゃない。ゴールが空いているのにシュートを打たない場面があったり、目の前の相手に勝つために逆算してプレーすることが大事。楽しく終わるよりも、さらにいいプレーを考えてほしい」と子どもたちに語り掛けた。

雨が降り続ける中行われた試合は、我那覇和樹選手（ジェイリースFC）らの3ゴールで試合を優位に進めたオシムジャパンレジェンドが、終了間際の水野晃樹選手（はやぶさイレブン）の1点に抑え、1-3でオシムジェフレジェンドをくだした。

追悼試合の発起人であり、プロジェクトリーダーを務めた佐藤勇人さんは、様々な形でオシムさんの遺伝子を伝えようと、オシムさんが好んだ中華のお弁当やお酒、故郷ボスニアで親しまれるトルココーヒーを手配。「やっぱり色んな人たちに喜んでもらわないと」と、当日も自分で手渡すなど心を込めた。「両チームの選手たちは楽しんでいましたし、スタジアムにいるすべての人たちが新しい一歩を踏み出すきっかけになってくれたら嬉しいですね」と笑顔に。

試合後のセレモニーには、小学生から高校生までのジェフユナイテッド千葉のアカデミー生も参加。オシムジェフレジェンドの巻誠一郎さんは、『リスクを負って攻めなさい、走りなさい』とオシム元監督に言われ続けた言葉は人生にも当てはまるとし、「責任を持ちながら一歩を踏み出す勇気を持つこと。色んなことが人生に起きた時に、オシムさんの言葉を思い出して、勇気をもって踏み出せる。僕はそういう人でありたいし、皆さんにもその魂を感じていただきたいと思っています」とスタンドに語りかけた。

今回の試合による収益の一部は、ジュニアサッカーの普及育成やオシム元監督の指導理念の伝承などに活用され、さらに、オシム元監督のモニュメントを蘇我スポーツ公園内に設置することが決まっている。モニュメント製作費はクラウドファンディングで募られ、ヒュンメルも返礼品などで参加する。

オシムさんの言葉が刻まれた追悼試合ポスターのひとつに、こんな言葉がある。「サッカーというのは人生と同じであって、勝つこともあれば負けることもある。このフクアリで、ジェフの新しい文化が生まれることを期待している」

スタジアムで完売した両チームのユニフォームと記念Tシャツは、11月27日（日）23:59まで受注を受け付け中。両チームのユニフォーム、およびTシャツ2カラーの4アイテムはジェフユナイテッド市原・千葉公式オンラインショップJRE MALL店で取り扱い。選手やスタッフが着用した記念Tシャツは、ヒュンメル公式オンラインストアでも受け付けます。