INAC神戸、エキーポで目指すシーズン2冠!

INAC神戸レオネッサが、1月27日に決勝戦が行われた皇后杯で、三菱重工浦和レッズレディースをPK戦の末に破り7大会ぶり7度目の優勝を飾った。ヒュンメルとアドバイザー契約を結ぶ髙瀬選手と北川選手に、優勝の喜びと、3月から再開するリーグ戦について聞いた。

ベテランとして責任を背負う

女子サッカーの日本一を決める皇后杯 JFA 全日本女子サッカー選手権大会の決勝戦に2年連続で進出したINAC神戸レオネッサ。昨年は0-4と日テレ・東京ヴェルディヴェレーザに後塵を拝したが、今年はリーグ戦7試合を終えて5勝2分の1位というリーグ戦の好調を皇后杯でもキープ。一気に頂点へと駆け上がった。

試合は前半19分に浦和が先制。後半になって徐々に流れをつかんだINAC神戸が、後半45分過ぎ、相手DFのハンドを誘ったシュートでPKを得ると、途中出場の髙瀬愛実選手が落ち着いて決めて同点となり、そのまま延長戦へ。
普段の試合だと日本代表でエースの田中美南選手がPKを蹴ることが多いが、プレッシャーのかかる大一番、ベテラン髙瀬選手がキッカーとなった。「これだけ長くいるんで、こういう時くらい責任を負わないと」と振り返るが、それでも今までにないくらいに緊張は高まったという。ただ、「チームメイトの声も聞こえなくなるくらいに集中していて、しっかり蹴ることができた」と話す。

1年の証をWEリーグタイトルで

2009年にINAC神戸に入団した髙瀬選手は、リーグ戦4度の優勝を含め、数々のタイトルを獲得してきたが、今シーズン加入した北川ひかる選手は、キャリア8年目で自身初タイトルに。「初めての景色ですごい幸せでしたね。今シーズン、大きな決断で神戸に移籍してきましたが、このチームは大きく変化できるチーム。前半戦終えて1ゴール0アシストと、目標の7アシストはまだ遠いですが、後半戦にかかっていると思います」と自らのアシストの数だけリーグ戦優勝に近づくと語る。

髙瀬選手は、「タイトルを取れるチームって、厳しい時も超えて、チームとしてちゃんとまとまってる。シーズン始めには感じないのですが、途中で『あ、取れるな』って思うんです。チームなんで、みんながいい時ってないんですよね。誰かしら上手くいかない。その時にそれぞれのやさしさや思いやりで助け合っている。INAC神戸って、わりとぶつかり合うことが多くて、でも、その言い合える環境が強み。これまでそれが裏目に出ることもあったんですが、勝ちたいっていう底辺にある共通の気持ちが、今はポジティブに変化していて、寄り添い合える関係になっている。今回もタイトルを取れるって思いました」と力強い。

そして、チームを繋げる役割を果たしたのが、北川選手だったと髙瀬選手は語る。「ひかるの存在が大きいですね。ピッチでも練習の時でも、難しい雰囲気の時に発言してくれて、ベテランと若手を繋ぐ存在になってくれています。3月から後半戦が始まりますが、リーグは取りたいですね。WEリーグになってから、シーズン最後のタイトルになったこともあり、達成感が上がりました。1年間やってきたという証を今年のチームメイトと分かち合いたい」と後半戦を見据える。

今シーズンのWEリーグチャンピオンが第1回目となる2024-25 AFC女子チャンピオンズリーグに出場することが決まっている。「今までもアーセナルやリヨンとの試合がありましたが、チーム単位で海外のクラブとできるのって楽しいし、経験値も上がる」とさらなるチーム力のアップも図れることとなる。

パワーを推進するスパイク

昨年12月にヒュンメルのサッカースパイク「ヴォラート3」がリニューアル。新開発のアウトソールは、プレートにナイロン樹脂素材を採用し、ソール単体で約13g(27.0cm)の軽量化に成功。中底全面に使用した「KaRVO」を組み合わせることで反発性を強化。高さや形状、配置を見直したスタッドがグリップ力を実現。幅広プレイヤーを支えるモデルだ。

WEリーグの選手にとっては、シーズン途中で履き替える難しい状況ではあった。北川選手は、「ボールの感覚が合わなかったりと、慣れるのに少し時間がかかりましたが、フィット感もあり、切り返しがよりしやすくなった。フィーリングもいい。クロスの精度をもっと上げていきたい」と話す。

髙瀬選手は、「自分のパワーに加えて、スパイクによるパワーで推進力がアップする。ポイントも高くなった分、天然芝との相性が良くて試合で力を発揮してくれる。ヒュンメルのスパイクって、以前から軽量感もあるのにクッション性があるのがポイント。選手としてはケガをしないことが大事になるんですよね」とキャリア15年目だからこそ言える言葉に重みがある。

地元への想いを背負ってプレー

今年元旦、石川県能登半島を震源地にマグニチュード7の地震が発生。石川県を中心に大きな被害が発生した。ちょうど金沢の実家に帰省していた北川選手は、「皇后杯では石川県の皆さんの力にというか、やらないとっていう気持ちが強くなった。逆にチームメイトのみんなが声をかけてくれて。(1月20日開催の)皇后杯準決勝は、プレーが悪い中で、支えてくれて」と地元への想いを背負ってプレーを続けた。

皇后杯後のオフで、金沢に戻った北川選手は、「一般のボランティアはまだやってなかったのですが、能登半島の施設の状況をチェックする父の仕事を手伝いました。1日だけでしたが、ひどい状況で言葉を失いました。それに断水がまだ続いていて、トイレも行きづらい。それでも、被災した人たちが助け合いながら、前に進んでいることを感じられました」と地元の復興を願う。

「地震があった際にもチームのみんなが心配してくれて」と北川選手が話すと、「みんなそれぞれやさしさがある。個性も強いけど、監督が『エキーポ』(スペイン語でチームや家族を意味)と言ってる、その言葉が今のINACを象徴していると思います」と髙瀬選手が締めくくった。

 


INAC神戸レオネッサについて

神戸市及び兵庫県におけるスポーツコミュニティの担い手を育成し、国際的な活動も展開していく総合スポーツクラブとして2001年4月にINAC(INternational Athletic Club)として設立。女子サッカーチーム「レオネッサ」は同年11月に誕生。2011年からなでしこリーグ3連覇、2013年にはシーズン3冠に加え、国際女子サッカークラブ選手権でも優勝。2020年にはチーム創設20年を迎え、エンブレムを刷新。2021-22シーズン、WEリーグ初代チャンピオンに輝く。
【OFFICIAL SITE】http://inac-kobe.com/

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