ツエーゲン金沢、『Future Challenge Project』で点字シャツ着用!

デンマークのスポーツブランドhummel(ヒュンメル)が、Jリーグ3クラブ、Bリーグ1クラブの4チームと協働した点字シャツは、それぞれのホームタウンで視覚障がい者支援などに繋げるチャリティシャツ。11月4日、ツエーゲン金沢の選手はウォーミングアップなどに着用。スタジアムでは視覚障がい者啓発の関連イベントも行われた。

伝わる声掛けを工夫して

11月4日、石川県西部緑地公園陸上競技場で行われた大分トリニータ戦では、ツエーゲン金沢がサッカーを通じ、誰もが共に暮らし続けられるまちづくりを目指し「挑戦」する『Future Challenge Project』が行われた。視覚障がい者の人たちと共にスポーツ観戦を楽しむことができる環境づくりを目指して3年目となったイベントに、ヒュンメルは点字シャツで初参加となった。

試合前のピッチで行われたのがブラインドスポーツ体験会。10名ほどの視覚障がい者も含め、サッカーとランニングに分かれて、パラスポーツ体験を楽しんだ。ブラインドサッカーは、ツエーゲン金沢のブラインドサッカーチーム「ツエーゲン金沢BFC」が指導。

体験の後、「今、ほとんどみんなの顔が見えないのですが」と話し始めた池端一軌選手は、「僕たちが生活で困るのは、字が読めないこと。電車やバスの運賃を覚えたり、支えてもらう人がそばにいて、いろんなことを教えてもらいます。視覚障がい者はそんな風に分かることやできることを増やしていっています。今日、皆さんが上手にプレーできたのは、声掛けがあったから。声があるからこそ、相手のいる場所が分かり、パスをすることができる。どんな声掛けなら伝わるか、というのは、障がいのあるなしに関わらず、大事なことだと思います」とコミュニケーションの大事さを訴えた。

多様性が求められる社会で

『Future Challenge Project』を初年度から支えるのは、地元の金沢星稜大学人間科学部スポーツ学科の西村ゼミの学生たち。スタジアム奥のゲンゾーパークで、白状をついて歩いたり、特別なメガネで色盲や視野狭窄を体感できる視覚障がい体験など、啓発イベントを行った。

3年生の田口柊陽さんは、「僕らも事前にアイマスクをつけて体験をしたんですけど、普段、目や耳に頼っていることが当たり前で、それが閉ざされた途端に難しくなる。実際に目の見えない人たちがいることを知って、どうやって共生していけるのかは、多様性が求められる社会で大事なことだと思います。こういうイベントが、障がい者を知るきっかけになれば」と話すと、西村貴之教授は、「アイマスクをつけて歩いてみるだけで、すごく役に立つ」と体験することの重要性を強調した。

選手入場前には、ブラインドサッカー日本選手権に参加するツエーゲン金沢BFCの壮行式があり、盲目のシンガーソングライター栗山龍太さんが、BFCへの激励の意味も込め、『リアルビクトリー』を熱唱。「こういうスポーツクラブの試合で歌わせてもらうと、知ってもらう機会がぐんと増える。ライブで聞いてもらい、共生や多様性を伝えていきたい」と語った。着用したシャツの点字箇所に触れながら、「視覚障がい者って約30万人いて、点字を読める人って約3万人しかいないんです。でも、1人で動く時は手で触り、知れることは安心材料なんですよね。このシャツで、ツエーゲン金沢が、『Z』から始まっているのを初めて知りました」と笑った。

誰もがスポーツを楽しめる環境づくりに

パラスポーツを体験した人たちはそのまま試合観戦も。ツエーゲン金沢のクラブアンバサダーを務め、この日はブラインドランニングの体験会に参加した辻尾真二さんの実況をPlatCast(提供:株式会社アイ・オー・データ機器)で聞き、スタジアムの雰囲気と共に、耳からサッカーを楽しんでもらう工夫も。

『Future Challenge Project』には、サポーターも参加。「特別に設けられた席もいいのですが、ゴール裏で僕たちに混ざってもらい、応援する楽しさを感じてほしかった」と話すと、初めて試合観戦に訪れた参加者は、「普段ひとりでは行けないサッカー観戦。初めてゴール裏で応援し続け、声が枯れました。この企画のおかげで楽しめた」と喜んだ。

ツエーゲン金沢vs大分トリニータの一戦は、2度同点に追いつくというアグレッシブな試合内容に加えて、多様性や共生について感じられた1日となった。今回の点字シャツは売り上げの一部、また選手着用分をオークションにかけた売上の一部を合わせて視覚障がい者支援に繋げるチャリティシャツ。誰もが共に暮らし続けられるまちづくりを目指すツエーゲン金沢と共に、ヒュンメルも取り組みを続けます。


ツエーゲン金沢について

ツエーゲン金沢は、サッカーJ2リーグに所属するクラブチームで、金沢市を中心に石川県全域をホームタウンとして活動。「ツエーゲン」は、ドイツ語で「2」を意味する“Zwei(ツヴァイ)”と「進む」を意味する“Gehen(ゲーン)”から、『チームとサポーターが共に進んでいく』ことを意味。金沢弁で「強いんだっ!」を意味する“つぇーげん!”もかけたチーム名です。クラブは2014年にJ3で優勝し、2015年から、J2でプレーしています。

【OFFICIAL SITE】http://www.zweigen-kanazawa.jp/

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