おりひめジャパン、パリに1歩届かず

ここまでインド、カザフスタン、中国に勝利して、お互いに3勝ずつをあげている日本と韓国。得失点差で日本が上回っているため、日本は引き分け以上で1位が確定し、パリ行きの切符を手にすることができる。

とはいえ、「得失点差のことは頭には入っているが、絶対に勝ちたい」（相澤菜月キャプテン）という強い想いで試合に入ったおりひめジャパンは、開始からDFで足がよく動き、佐々木春乃選手のスティールから、吉留有紀選手が速攻を決めて先制。中山佳穂選手、相澤選手らが続いて5点を先取する最高の立ち上がりを見せる。

日本は相手の状況に応じて細かくDFのメンバーや配置を変えながら、個の能力で勝る韓国の攻撃にしっかり対応。GK亀谷さくら選手もたびたび好セーブを見せてくれた。しかし、OF面では韓国の戻りが早かったり、いい形でのボール奪取ができなかったりで得意の速攻がなかなか出せず、セットOFも「少し焦りもあって、DFとの距離が近くなってしまった」（佐々木選手）ことで思うように得点が伸びない。

15－14で折り返した後半もその状況を打開できず、15分にはついに19－20と逆転を許す。それでも相澤選手の個人技を中心に、離されても2点差まででついていくが、同点にはできても再逆転には至らず、あと1点が遠い。

これで1位が韓国、2位が日本となり、韓国はパリ行きを決めた。日本にもまだ可能性は残されており、11～12月に開催される世界選手権で優勝するか、来年4月中旬（予定）に行われる世界最終予選で出場権を勝ち取るかのどちらかとなる。

世界最終予選は、世界選手権の上位や各大陸予選2位など12チームが、4チームずつ3グループに分かれて総当たりで戦い、上位2チームずつの計6チームが出場権を獲得する。日本は大陸予選2位で参加。かなりの確率でヨーロッパ勢2チームと同じグループに入ることになるため、2位以上に入るためには、どちらかから白星を得ることが必要だ。

韓国戦でDFには一定のメドが立った。ミスの少なさも近年のおりひめの中では屈指のできだった。「プレーの精度を上げる」ことを徹底してきた成果が出たと言っていいだろう。それだけに、今後より強く求められるのはOFでの個の強さ。楠本監督も「1人ひとりの個の強さをこれまで以上に磨かないと」と試合後の記者会見で口にしている。10月開催のアジア大会や前述の世界選手権は、体格や個の力に勝る強豪と実戦経験を積める格好の場となることだろう。